「同じ茶葉を使っているのに、現地や専門店で飲んだ味と何か違う」——その原因の多くは「水」にあります。お茶の成分の99%以上は水です。日本の水は基本的にミネラル分の少ない「軟水」であり、茶葉の繊細な香りを引き出すのに極めて適した恵まれた環境にあります。日本の水で中国茶を最高に美味しく仕上げる水選びの基準を解説します。
1. 水の硬度とお茶の抽出バランス
- 軟水(硬度 20〜60mg/L):日本の一般的な水道水や国産ミネラルウォーター。カルシウムやマグネシウムが少ないため、茶葉の香り(アロマ)と旨味成分がストレートに抽出されます。緑茶・白茶・高山烏龍茶に最適です。
- 中硬水(硬度 80〜150mg/L):適度なミネラルが重厚なカテキンや焙煎香と調和し、味に厚みを持たせます。武夷岩茶や年代物プーアル熟茶の角を丸めたい場合に向くことがあります。
- 超硬水(硬度 200mg/L以上):硬度が高すぎると、カルシウムが茶葉のタンニンと結合して膜を張り、香りも味も抽出されなくなります(中国茶には不向き)。
2. 水道水を美味しく仕上げる「カルキ抜き沸騰法」
日本の水道水は水質基準が厳しく非常に衛生的ですが、殺菌用の塩素(カルキ臭)が繊細な中国茶の香りを損ないます。
- 活性炭浄水器を通した水道水を使用する。
- ケトルの蓋を少しずらすか、沸騰後も1〜2分間弱火でボコボコと沸騰を維持する(塩素の完全気化)。
- 汲みたての空気(溶存酸素)をたっぷり含んだ水を強火で一気に沸かす。
3. 銅製ケトルや鉄瓶がもたらす水質の変化
銅製ケトルや鉄瓶で湯を沸かすと、微量な金属イオンの働きや熱伝導の均一さにより、お湯の口当たりがとろりと滑らかに感じられるようになります。中国茶席の熱源として金属工芸のケトルが愛され続ける理由もここにあります。