茶器の手引き

中国茶を「ズズッ」とすする理由|口内アロマを爆発させるテイスティング技法とマナー

中国茶の試飲会や茶席で、愛好家がお茶を口に含む瞬間に「ズズッ」「チュッ」と鋭く空気を巻き込みながら音を立ててすする様子を見かけることがあります。「お茶席で音を立てるのはマナー違反ではないのか?」と感じるかもしれませんが、これはワインのテイスティングと同様、お茶の芳香成分を極限まで引き出すための専門的なテイスティング技法(啜茶 / スラーピング)です。

1. 空気を巻き込む科学的メカニズム(エアロゾル化)

お茶の味と香りを最も正確に感知する鍵は、「レトロネーザル(口中から鼻腔へ抜ける香り)」にあります。

  • 霧状に拡散(エアロゾル化):唇をすぼめて強い空気と一緒にお茶を吸い込むことで、茶湯が細かなミスト(霧状)になって口腔内全体に一気に拡散します。
  • 舌の受容体全体への到達:舌先だけでなく、舌の奥・側面にある味蕾へ瞬時に茶湯が行き渡り、甘み・酸味・ミネラル感を網羅的に捉えられます。
  • 温度低下による火傷防止:外気を取り込みながら飲むことで、熱い茶湯が適度に冷やされ、火傷せずに熱香を味わえます。

2. 啜茶(スラーピング)の正しい実践法

  1. 茶杯からお茶をごく少量(ティースプーン1杯程度)だけ口先へ運ぶ。
  2. 唇をストローのように小さくすぼめ、お茶と一緒に「シュッ」と短く鋭く空気を吸い込む。
  3. 口を閉じ、鼻からゆっくりと息を吐き出す。この瞬間に鼻腔を満たす圧倒的な戻り香(回甘・喉韻)を感じ取る。

3. フォーマル茶席での使い分け

プロの品評会や茶葉の選定では必須の技法ですが、静けさを重んじるフォーマルな茶会では、音を立てずに静かに含むのが一般的なマナーです。自分のペースでじっくり味わう一人茶席や、親しい茶友とのテイスティングの場でぜひ試してみてください。

器に残るアロマを鑑賞する作法は、聞香杯の使い方と香りの鑑賞作法をご覧ください。

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