「オリエンタル・ビューティー」の名でヴィクトリア女王をも魅了したと伝えられる台湾の白毫烏龍茶「東方美人(とうほうびじん)」。茶畑に飛来する小さな昆虫「ウンカ(小緑葉蝉)」が新芽を噛むことで、茶葉が自己防衛のために生み出す天然の甘い果実香・蜂蜜香(蜜香)が最大の特徴です。この繊細な香りを逃さない淹れ方を解説します。
1. 100℃は厳禁:85〜90℃で甘みを守る
東方美人は発酵度が約60〜70%と紅茶に近い烏龍茶ですが、柔らかな白毫(新芽の産毛)を多く含みます。完全沸騰の100℃を直接注ぐと、アミノ酸の甘みが消えて渋みが立ちすぎてしまいます。沸騰湯を一度茶海に移して85〜90℃前後に落ち着かせてから注ぐのが鉄則です。
2. 推奨する茶器:小ぶりな白磁蓋碗または朱泥壺
- 白磁蓋碗(80〜100ml):東方美人特有の赤・白・黄・茶・緑の「五色」の茶葉の美しさを愛でつつ、ストレートなアロマを蓋裏で確認できます。
- 朱泥小壺:香りを吸着しにくく、密度の高い朱泥急須は、東方美人の華やかなトップノートを際立たせます。
3. 蒸らし時間と煎の重ね方
- 1煎目(20〜30秒):茶葉がほぐれるのを待ち、茶海へ注ぎ切ります。蜜のような甘い香りが立ち上がります。
- 2〜3煎目(15〜25秒):茶葉が開ききっているため、短時間の抽出で十分な味が出ます。
- 4煎目以降(30〜60秒):少しずつ時間を伸ばし、滑らかな後味の余韻を楽しみます。
東方美人の華やかなアロマを愛でる作法は、聞香杯の使い方と香りの鑑賞作法もご参照ください。